満を持して「おきなぐさ」の登場です。
この花を撮りたくてこれだけのために小石川植物園にいったようなものです。
おきなぐさ

メシベの毛が、綿帽子のようになった時、お年寄りの頭髪に似ているところから、「翁草」の名前が付いたといわれている。全国の方言にも、オジノヒゲ、オバシラガ、オバカシラ、シラガグサ、ジジババ、シラガババなどいわゆる「翁」を表現したのがよくみられます。
花をじっくりとマウスオン・クリックでご覧下さい。

こうして見ているとこの花の名前を冠した童話が宮沢賢治の「おきなぐさ」の一説、蟻に私がたずねるところを思い出します。
『「いいえ、黒く見えるときもそれはあります。けれどもまるで燃(も)えあがってまっ赤な時もあります」
「はてな、お前たちの眼(め)にはそんなぐあいに見えるのかい」
「いいえ、お日さまの光の降(ふ)る時なら誰(だれ)にだってまっ赤に見えるだろうと思います」
「そうそう。もうわかったよ。お前たちはいつでも花をすかして見るのだから」』
上手く表現してると思いませんか!

花が終わり、綿毛になり始めた花ですが、これを見ると・・・宮沢賢治の「おきなぐさ」の冒頭部分が浮かんできます。
『うずのしゅげを知っていますか。
うずのしゅげは、植物学(しょくぶつがく)ではおきなぐさと呼(よ)ばれますが、おきなぐさという名はなんだかあのやさしい若(わか)い花をあらわさないようにおもいます。(以下略)』
ちゃんとした「うずのしゅげ」を見たい方は昨年の記事「
うずのしゅげ・綿毛」をご覧下さい。
夕陽に照らされる産毛の輝きもまた表現されています。
『そしてあの葉(は)や茎(くき)だって立派(りっぱ)でしょう。やわらかな銀(ぎん)の糸が植(う)えてあるようでしょう。』

いかがですか。見事な描写力だと思いませんか。この童話はわたげとなって飛んでいくまでが描かれていますが、私が綿毛をみる基本的な姿勢となっている作品ですので是非読んでみてください。
銀河鉄道の夜 (角川文庫)
に収録されています。
ところが、身近で見かけることがほとんどないと感じられるように、北海道と沖縄を除く45都府県で自生種は絶滅または絶滅危惧種指定されており環境省レッドデータブックでも絶滅危惧U類(VU)(絶滅の危険が増大している種)に指定され、「100年後の絶滅確率はほぼ100%である。」とされています。後世まで童話と共に大切にしていきたいものです。
最後に、テレイドスコープの写真をマウスオンでどうぞ。

「物語 優しく話す おきなぐさ」
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posted by ブドリ at 23:59
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