なぎママさんからのコメントにお子さんのなぎくんが疑問に思ったことを書いてくれたのですが、コメントに返事だけではもったいないので、記事にしてお答えしちゃいます。お答えしますなんて書いてはまずいので、御返事します。
「かぁ〜、クラムボンって何??」
いきなりきました。
これは超難問です。どう答えるかも難しい。
まず、クラムボンと聞いてなんのことか分かる人は宮沢賢治をかじったことのある方だと思います。さすがです。
クラムボンとは賢治の童話「やまなし」に登場します。
クラムボンの出てくる部分の一部を抜粋して掲載します。
全文は青空文庫のやまなしを御覧下さい。
「やまなし」
小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です。
一、五月
二疋(ひき)の蟹(かに)の子供らが青じろい水の底で話てゐました。
『クラムボンはわらつたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』
『クラムボンは跳てわらつたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』
上の方や横の方は、青くくらく鋼のやうに見えます。そのなめらかな天井を、つぶつぶ暗い泡が流れて行きます。
『クラムボンはわらつてゐたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』
『それならなぜクラムボンはわらつたの。』
(中略)
つうと銀のいろの腹をひるがへして、一疋(ぴき)の魚が頭の上を過ぎて行きました。
『クラムボンは死んだよ。』
『クラムボンは殺されたよ。』
『クラムボンは死んでしまつたよ………。』
『殺されたよ。』
(以下略)
さぁ、これを読んでクラムボンの正体がわかりましたか?
はっきり言って、クラムボンとは何かわかりません。
わかった人がいたら宮沢賢治の生まれ変わりかもしれません。
というぐらい、このクラムボンの正体は謎なんです。
これだけで、研究論文が書けます、というより、たくさんあります。
蟹の吐く泡説
水面の光説
蟹の英語、crabとクラムボンが似ていることからの連想説
蟹語説
などなど。
そして、なんと!クラムボンは何かを研究しているのに「解釈してはいけない説」なんてものまであるんです。
でも、私としては「解釈してはいけない説」支持です。
宮沢賢治の作品には独特の語感(五感)で綴られた音の表現(オノマトペ)が散りばめられています。
それはなぜでしょう。
きっと物事にはたくさんの見方があることを伝えたかっったからではないでしょうか。
クラムボンを水泡と置き換えて文章を読むと、泡を擬人化したぐらいにしか感じられません。
でも、クラムボンだと、ストーリーを追うだけではなく、なんのこと?と考えることもさせますし、音を楽しむこともできます。
大人が読むクラムボン、子どもが読むクラムボン、青空の下で読むクラムボン、雨降りの時に読むクラムボン、ととれえ方は何通りもあっていいでしょう。
これは賢治の童話全体を通して言えることです。
答えは必ずしも一つではない。
本当は答えは一つということの方が少ないのが世の中。
「何?と思うこと」
「試してみること」
「感じてみること」
「自分なりの答えを導くこと」
それを大事にして欲しい、そう思っていたはずです。
だからこそ、独特な言葉やオノマトペを使って、一つのものに限定しないようにしたのだと思います。
これじゃ答になってませんね。
まとめると、クラムボンは自由自在な存在です。
好きなように想像していいんです。
お風呂やプールに入って、カニの兄弟のように上を見て
実際にお風呂やプールに入って、カニの兄弟のように水の中から上を見てみてください。
泡がキラキラ光ってるだけかもしれません。ふと、みゃーの顔が浮かんだり、じぃの笑顔が浮かんだりするかもしれません。
ひょっとしたらライチュウに見えたりして?
自分なりのクラムボンを想像して楽しんで下さい。
これでお返事でいいでしょうか?
賢治の童話は子供向けというには難しい内容が多いので、なかなか楽しむというわけにはいきませんが、まずは登場する言葉の響きに耳をかたむけるだけでもいいと思います。
まずはどんどん接して下さい。
久しぶりにいろいろ考えちゃいましたけど、宮沢賢治って、考えてるだけでも楽しいんですよね。
なぎくん、なぎママさん、いい機会をありがとうございます。
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宮沢賢治もごく一部しか読んだことがないので…。
でも、面白いですネ。
何かをイメージしていたのでしょうが、読む人の感性にゆだねると、色々な考えが出来ます。
結論がない方がいいのですネ。
世の中、こんな風に考えれば上手く行くこともあるかも…。
宮沢賢治の作品は奥深いんですよ。
表現も独特で、こちらも想像力を広げて読む楽しさがあります。
一度、読んでみて下さい。
『クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』
『クラムボンは跳てわらつたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』
が
『クラムボンは死んだよ。』
『クラムボンは殺されたよ。』
『クラムボンは死んでしまつたよ………。』
『殺されたよ。』
と転結する・・このあいだになにがあったのか・・
はるか離れた所に住む従兄が亡くなったよと今日の電話に彼の人生は何だったろうと唐突にこのクランボンの詩と重なるような思いがありました。
ひとつ屋根に住んでいた学童期の幼い頃の従兄とは何もかも面白くてたまらなかった子供の世界があった。
半世紀の永のご無沙汰のあいだに見知らぬ街で病に倒れたと聞き案ずるうちにとうとう病院で亡くなったと。病で死んだと分かっていても殺されたよという言葉が嘘じゃないような気がするのはなぜなんだろうと。
昔から何度も何度も読んできた詩なのにこうして今日こうして受け止める感慨は今までなかったものでした。
賢治の詩は大人も読む詩だと思いましたね。
なぎに聞かれたときの会話はこんな感じです。
「ねぇ、かぁ〜、クラムボンって何??」
「なぎたんは、何のことだと思う??」
「かにさんのことかな・・・。」
「何でそう思ったの??」
「かにさんの絵が描いてあったもん。」
「そっか〜、かにさんの笑い方ならぷかぷかね〜。」
「かぁ、違うよ。ぷかぷかじゃなくて、かぷかぷだよ〜。かぁ知らないの??バァも知らないんだって。クラムボンてなんだろうね・・・。」
「そうだ、ブドリさんに聞いてみようよ。ブドリさんなら知っているかも!!」
「うん、ブドリさんは、バァの知らないお花も知っているしね。何でも知ってる??」
「う〜〜ん、なんでもじゃないかもだけど、かぁのわからないことは何でもしってるよ。
クラムボンも何かわからなくたって、きっといいヒントを教えてくれるよ。」
と話していたその通りだったので、とっても嬉しいです(^^)
早速なぎに、
「かにさんが書いてあったのは、かにさんがお話しているからなんだって!!
だからかにさんのお友達のことを話しているかもしれないけど、別のことことかもしれない。なぎもかにさんとおなじように水の中で上を見上げたら、クラムボンが見えるかもしれないって!!」
「そっか(^^)」
ととっても満足した答えを返してくれました。
でもやっぱり、なぎの質問には、直接ブドリさんの声で、ブドリさんの言葉でなぎに話してほしいと思いましたよん(^^)
奥深い宮沢賢治の世界。
日本語で遊ぼうと言う番組を通してきく世界は、ちょっとした一文だけ。
最後の結びは知らないんです。
その話の流れ、読み聞かせ、それもやっぱりブドリさんにお願いしたいと思ってます。
従兄さんが亡くなられたのですか。
子供の頃からの記憶、最近の思いなど、いろいろなものがこみ上げてきたのでしょうね。
こういう時に触れるとまた違ってとらえられるというのも賢治の作品の奥深さですね。
私がこのタイミングで掲載したのも何かのメッセージとなっているのかもしれませんね。
今一度読んで見られてはいかがですか?
なぎママさん
すごく照れちゃう会話をしてるんですね。
なぎくんの中にしっかりと私の存在があるのはとても嬉しいです。そう思うと、確かに電話でなぎくんに伝えた方が良かったかもしれませんね。
一文だけでも、「クラムボンってなんだろう?」って疑問を持ったなぎくんとのお話をみなさんでふくらませて下さいね。
私の読み聞かせよりも、なぎママさん達の読み聞かせの方がずっといいですよ。作品を知らなくても、親子ではじめての感覚を味わってみるのもいいものですよ(^^)